熱帯魚図鑑

コイ目

コイの仲間はスズキ目についで魚類のなかでも種類が多く、淡水の魚類の多くはコイ目に入る。

南米を除くほとんどの淡水域にその姿をみウことが出来き、おおむね3200種が存在する。

日本ではコイ・タナゴ・ドジョウなどが分布し最もなじみのあるグループとも言える。

 

コイの類の特徴は顎に歯がなく、咽の奥に咽頭歯という歯があるのが最大の特徴である。

したがってコイ目の魚類のほとんどは餌を丸呑みにし咽頭歯で咀嚼する。

このグループには魚類最小のドワーフ・フェアリー・ミノー学名(Paedocypris progenetica 

がいる。この種は最大オスで10mmメスで8mmという極めて小さな魚類で、PH(水素イオン濃度)3という通常の雨の10倍ほどというきわめて強い酸性の酸泥炭地で生息するという珍しい魚であるこのようにかなり特殊化した生き物もいれば、コイのように、水さえあればたいていの環境でも生きていけるようなものまでいる。

 

飼育魚としても非常に幅広いグループで、プンティウスの仲間のように色彩のきれいな小型魚を水草を植え込んだ水槽で軍営させるような飼い方から、3mパーカーホーのように大型水槽で1匹ないし少数の個体をゆったりと飼うことも出来る。

 

多くの種は雑食で餌に困るようなこともなく飼いやすい。

一部の種類はブラックウォーターと呼ばれるピートなどから浸出したタンニンなどを含む水で飼うといっそう美しくなり、こういった環境では繁殖もさせやすくなる。これは他のカラシンなどにもいえる。

また、ブラックウォーターでの飼育に適した生き物はたいてい新しい水を好まない。

行き届いたろ過によってゆっくりと酸化してph6ぐらいの頃が一番色彩が際立つ。

 ここで作業できるかな?

 

エンツユイ 

 

 

長江東部揚子江の流域に分布し、100cm以上になる。幼魚の頃は褐色と薄いベージュの「パンダ柄」でいかにも中国のものといった感じである。

背鰭をピーんと立てて水底を「ハミハミ」と移動し採食する。

 

この姿は幼魚特有のもので、40cmを越える頃からだんだんと体高がなくなり、背鰭も体に対して小さくなってゆく。70cmを越える頃から色合いが変化し始め、最終的に臙脂色の体に褐色のストライプが入るようになってくる。

 

エンツユイは本来温帯魚であるが、なぜか熱帯魚扱いされている。

そしてなかなか成長させられないと定評がある。

エンツユイは本来北米に分布するサッカー目というコイの仲間で、アジアにいるのが不思議なくらい変わった魚だ。学名にasiaticsとやたらアジアを強調するような名前もこういったことからだ。

 

ということは、他のサッカー目の魚に合わせた飼育方法をとったらよいのではないか?

ということで、高校生のときに試してみた。

 

サッカー目は概して高温に弱い。そこで水温を25度以上にしないよう水槽用クーラーを取り付けた。

 

もう一つ知りたいのは、長江とその流域の水質だ。

 

ここで参考にしたのは中国金魚の孔雀オランダだ。孔雀オランダというのは更紗オランダにさらに黒い模様が混じった模様だ。三色オランダともいうが、透明鱗や浅黄色を持つわけではないので、東錦とは待った区別の品種だ。

 

この品種やパンダ蝶尾はよく黒い色が褪せる。特に孔雀はだだの更紗オランダになってしまう。日本に来てから早ければ半年ほどで黒が落ちる。しかし中国の個体を見るとかなり大きな個体でも黒さを残していたので、明らかに何かが違うのだ。

 

これを防ぐのにアルカリ性の水を使うといいと聞いたことがあるので金魚で試したらある程度うまくいった。中国で金魚を作るのに適しているのは江南だ。おそらく江南で作られているはずだから長江流域も下流のほうならアルカリ性に近い水質であると読んだ。

 

そこで、水質はサンゴ砂を使い弱アルカリ性の硬水としてみた。

この実験は失敗に終わった。以降2011年までの7年間エンツユイに手を出せないでいた。2011年にエンツユイに手を出してみた。今度は口の形に着目し、ベントス食性であると仮定して、餌を比較的多めにしてみた。というのも、餓死する個体が多いように感じたからだ。ところが、フレークフードを日に二三度与えても痩せてきてしまった。

 

こうなっては水槽が勿体ないので、屋外の水槽に棄てるつもりで放した。ここは水底に汚泥が多く溜まり、藻類も赤成り繁茂してしまっているような水槽だ。その後数ヶ月して、掬ってみたら生きていた。生きていたどころか、丸々太っていた。

 

この結果から死亡する個体の大半が餓死ということがわかった。

 

このころ、11月になり寒くなってきた。そこで、越冬のために温室に撤退するか迷った。目白にある某大学の池に巨大なエンツユイがいるという話を思い出した。池にいるなら問題なかろうと放置を決め込んだ。越冬にも成功し、春に掬ってみたら丸々と太っていた。

 

屋外の池で飼育するほうがいいだろう。

屋外で飼っている個体が写真の個体だが、かなり赤っぽい。発色も良くなるようなので屋外飼育を推奨する。

フードタイマーを駆使してとにかく飢えないように気を使えば長期飼育も難しくはなかろう。

 

 

スマトラ

 

 

スマトラはその名の通りスマトラ島に住む小型のプンティウストイウコイの仲間。小学生のころに見たとき、ベージュ色と深緑色の体色が虎を連想させるからスマトラだと思っていたのは内緒。6cm程度に成長する。

 

飼育は非常に簡単でめったなことでは死なない。

水槽は少数で飼うなら30cm水槽で十分。

水質は弱酸性から中性を保つ。

水温は26度前後が適しているがゆっくりと慣らせば18度程度でも問題ない。

 

餌は小型魚用の人工飼料に簡単に餌付く。

 

水草との相性は雑食ゆえに新芽などは食べられることがあるので、その点に注意する。

 

単独での飼育上の注意は殆どないが、混泳にはなかなか気を使う。

まず、エンゼルフィッシュやグラミーのようにひらひらした魚は鰭をかじられるので入れられない。

エンゼルフィッシュとスマトラの組み合わせは、相性の悪い熱帯魚の代表のような組み合わせだ。

また、6cm程度とはいえそれは長さの話であって、体高があるので意外と大きくなる。よって小さいネオンテトラなどは食べられる。

 

混泳にさえ気をつければ、飼いやすくてなかなか綺麗な魚。

 

ただし、金属には気をつける必要がある。鉄分の多い砂や、うっかり鉄釘や銅

片などが水槽にはいったままにならないように特に気をつける。

今では信じられない話だが、かつてスマトラは飼育の難しい魚といわれていた。

 

クラウンローチ

日本で有名なアユモドキに近いボティアの仲間で最もよく飼われるものの一つ。

ドジョウの一種と思ってもらえば差し支えない。

クラウンローチは最大で30cmほどになるが、飼育下ではなかなかそこまで成長せず、せいぜい十数センチどまりだ。

飼育は比較的容易だが、やせないようにこまめに餌を与えることと、高水温にはさらし続けないように気をつけたい。

 

混泳はあまり難しくない。あまり大きな個体だと、口に入るような魚は食べてしまう。

 

水草との相性はあまりよろしくない。砂を掘り返す性質があるので、鉢植えにして植えるなどの工夫が必要だ。積極的に草を食べるわけではない。

 

本来の砂地をあさる性質を阻害しないためにも砂は敷いておいたほうが良い。

 

鱗がないためか、よく白点病になる。このため、移動の後は必ずマラカイトグリーンを薄めに投与するか、水温を28度程度にしておく。

砂をあさる性質から、エロモナス症も良くかかかる。そのため砂の中は水換えのときに換水ホースなどで汚れがたまらないように吸い出してやる。

眼の下に眼窩棘という棘があり、これで仲間同士小競り合いをする。扱うときはこれに刺されないように、また網に引っかからないように気をつける。

 

ほぼ同じ方法でレッドフィンブルーボティア・イエローフィンブルーボティア・スカンクボティアなどが飼育できる。ただしクラウンローチよりはどれも気性が荒いのでその点は気をつける。特にスカンクボティアの気の荒さはハンパじゃない、混泳は難しい。

 

テンチ

 

テンチは学名をTinca tincaという。西欧のスカンジナ半島とスペインの南端以外のほぼ全域からアジア北部とスゴーく広い範囲に分布する。

止水域に多く、清らかな流れには稀だという。

コイよりも低酸素に強いようで、基本的に夜行性のようだ。

大きさは最大で70cm程度、飼育下では20cm程度であろう。

大型個体の顔つきはまさにコイそのもの。

本来の色はオリーブグリーンで、緋色と更紗のものがいる。

更紗のものは下に絵図を載せる。

適水質は中性の軟水で水温は0度から32度くらいに耐え、適温は18度から25度。バイカル湖にすら生息しているというから、低温への耐性は折り紙つきだ。

西欧全域に住むことから考えると、弱アルカリ性から弱酸性まで耐える。

 

鱗が非常に細かく鮎のように表面はぬるぬるとした感じだ。

この粘液に他の魚が傷ついた患部を擦り付けて、傷を治すという伝承があることからドクターフィッシュと呼ばれる。

 

食性も口の形から、金魚と同様ベントス食性かと思われる。

ということは殆どの餌を受け付けるということ。

 

なるほどまさにコイのような存在だ。

これなら、食用などに養殖されていたものの中から色変わりが出て観賞用になるというのも容易に想像が付く。

 

繁殖はコイと似ているが、卵の数は多いときで三十万個にもなるという。

卵は緑色だそうだ。

 

非常に飼育しやすいと思われるが、大問題がある。

日本で見たことがないのだ。

ためしにテンチでググって見て欲しい。

画像検索でも数件引っかかる程度だ。これを書きながら調べてみたら一件販売していたところがあったので輸入はされているみたい。

そしてWikiにものっていたので大幅に追記できた。

 

ちなみにTinca tincaでググるとかなりの件数が引っかかる。

西洋では一般種なのに。

 

まあ、繁殖方法をまともに書いてみたところで親になる個体がほとんど輸入されていない以上あまり意味がないな。

 

見たところ粘膜で覆われて鱗が非常に小さいことから、スレ傷には弱いと思われるので、導入直後にはアクリノールでの消毒と粘膜保護剤の併用をしたほうがいいかと思われる。